イラストレーター

大高 郁子

コーヒーは、インスピレーションを昇華させる句読点

本の装丁画、挿画を中心にイラストレーターとして活躍しながら、京都精華大学のデザイン学部イラスト学科でも教えていた大高郁子さん。独特の美しい色彩と、温かみのある作品を生み出すアトリエの世界感のなかで、「コーヒーはインスピレーションを美しく昇華させるための句読点のようなもの」という大高さんのコーヒーライフについて、語っていただきました。


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コーヒーの香り越しに感じた大人の世界

中学生のとき、父に連れられて行った京都の喫茶店のイメージが、私にとってコーヒーの魅力の原点かもしれません。中央に大きな丸いカウンターがあり、制服を着た職人さんが大きなネルでコーヒーをいれたり、サンドイッチをつくったりと、そのきびきびした動きに目がくぎづけになりました。お客さんも、近所の商家の若旦那といった風情の人が多く、新聞を広げたり、店の人と話をしながら煙草をくゆらせたりと、すごく大人の世界に見えたものです。

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ヨーロッパのカフェ文化との出会い

家ではインスタントコーヒーは飲んでいたのですが、それほどおいしいとは思いませんでしたね。しかも父は新しい物が好きで、サイフォンや豆をいる道具を買ってきては、コーヒーをいれていましたけど、いれ方がそんなにうまくなかったせいか、やっぱりそんなにおいしいと思わなくて(笑)。
そのせいかどうかわかりませんが、数年前までコーヒーを飲むという習慣はあまりありませんでした。でも最近、仕事の関係もあって欧州へたびたび行くようになり、エスプッソコーヒーのおいしさに改めて気づかされました。ミラノでは立ち飲みスタイルで颯爽と。パリやウィーンのカフェには個性的な空間や自由な時間を楽しむ人たちがたくさん。コーヒーは、文化のあるところに根づくというか、生活に潤いをもたらす必需品なのかもしれませんね。

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デザインも、使い勝手も、シンプルさが大切

仕事柄、一人でアトリエにこもって文章を読んだり、絵と向き合う時間が長いので、自分のなかで切り替えるタイミングが必要なんです。だから、コーヒーで一息つく時間はとても大切。仕事が一段落したときとか、描き終えたラフを送付したタイミングなどに、シャキッとしたかったり、リフレッシュしたいという感じで、飲むことが多くなります。いわば、インスピレーションを美しく昇華させるための句読点のようなものですね。
コーヒーマシンも、仕事の手を休めて気軽に楽しむためには、使いやすいことが大切。その点、JURAは豆を入れてボタンを押すだけで、手入れも簡単。毎日のことだから、シンプルでなければ続きません。デザインも機能に徹していて、良い意味で存在感がない、すばらしいデザインだと思います。私の作品をつくる空間には主張をしないユーラのシンプルなフォルムは、とてもありがたいですね。

Profile

大高 郁子イラストレーター

兵庫生まれ。デザイン事務所勤務を経てフリーランス。おもな仕事に吉田武『はじめまして数学』1、2、3巻(幻冬舎)、『はじめまして数学リメイク』(東海大学出版部)、加藤由子『きょうも猫日和 猫のいる歳時記』(実業之日本社)、的川泰宣『宇宙のひみつがわかるえほん』(ポプラ社)、大栗博司『数学の言葉で世界を見たら』(幻冬舎)など。ほかに広告、雑誌、ウェブサイトの仕事多数。2013年HBギャラリーファイルコンペ日下潤一賞受賞。


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