フィフティーズ・アメリカの夢を、エスプレッソの香りに変えて

名古屋から小一時間、尾張旭市の三郷にその夢はあるという。世界に冠たるカスタムカーの雄、「リバティーウォーク」。そこに並ぶクールなスーパーカーたちを眺めがなら、とびきりのエスプレッソと「昔ながらの喫茶店のランチ」楽しめる『LBカフェ』。
そこは、まぎれもなくアメリカだ。憧れのフィフティーズ。カウンターにはコカコーラとバドワイザーのサインがきらめき、ピンクのスーパーカーが飛んでいる。天井には飛行機まで飛んでいる。そして、アメリカの真ん中に、見たこともないようなエスプレッソマシンが佇んでいた。黒を基調としたボディに赤と白の液晶がシャープなインパクトをあたえ、スケルトンになっている側面からはメカニカルな未来が透けている。せっかくなのでエスプレッソを注文する。バリスタを兼ねるチーフがマシンを対話するように丁寧に淹れてくれる姿を眺めていると、この店のことが知りたくなった。
「リバティーウォークは車の好きな方は誰でも知っていて、日本全国、いや世界でも通用するぐらい有名なんです。私はもともと飲食畑の人間だったので、あまり知らなかったのですが（笑）もちろん、学生の方や家族連れの車好きの方々もスーパーカーを見て、ランチやスイーツとコーヒーを楽しむという方も多くいらっしゃいます。なので、今回のリニューアルでは、カジュアルでポップな雰囲気を出したくて、50年代のアメリカンっていうイメージでお店をつくりました。メニューはナポリタンやホットドッグなど喫茶店のメニューを用意したり、シェイクやワッフル、パイなどを準備しています。

夢の続きは、ハンバーガーとデザートで

コーヒーがとても美味しかったので、お代わりを頼みつつ、気になっていたホットドックを頼む。なにしろアメリカだ。ホットドックだ。運ばれてきた瞬間、おしいさがわかる。間違いない。チーフ曰く、100％国産の素材でつくったパン、ソーセージも保存料不使用、塩と蜂蜜と豚肉だけの北海道産で、長さも特注というこだわりの一品。トッピングもオニオンとピクルスが山盛りでいうことがない。そして、チーフは微笑う。

「以前はハンドドリップでしたが、車を見に来てカフェもという流れでドバイなど海外の方も多く、エスプレッソやカプチーノを飲みたいという声も多くて。それで、リニューアルのタイミングで変えてみました。実は、このあたりは名古屋の「喫茶店文化」が根強くて、本格的なエスプレッソを出す店があまりなかったこともあり、反響も予想以上で、お客様にも喜んでいただいますが、朝、毎日飲むスタッフも、本当に美味しいと。ちょっと贅沢ですね。（笑）。今までマシンを使ったことがなかったのですが、見たこともないような斬新で格好良いデザインだし、名前もレーサー。それに、なにより使いやすい。初めてなのに、簡単に、これだけのエスプレッソが淹れられることに驚きました。このマシンを他のスタッフが扱えるようになったら、ハンバーガーや、自分が学んできたデザートメニューも広げていきたいですね。そして、車を見に来てくれる方だけでなく、気軽に入れて、ゆっくりと時間を楽しんでいただける場所にしていきたいですね。」
壁際のジュークボックスが、もう一度鳴り出す頃、あの頃のアメリカの騒めく輝きが、エスプレッソの香りをまといながら、新しい記憶の中の午後を歌いはじめた。