装丁家・グラフィックデザイナー 坂川 栄治

上質なコーヒーと、美しいデザインを嗜む毎日。

日本を代表する装丁家、グラフィックデザイナーである坂川栄治さん。作品はもちろんすばらしいのですが、そのオフィスもすばらしくスマートな空間で、さまざまなインテリア雑誌に掲載されたり、著名アーチストの写真撮影に使用されたりするほど。そんなインテリジェントな空間に、ピッタリなコーヒーマシン「ENA Micro 1」とともに、坂川さんのコーヒー体験をお聞きしました。

ドリップの職人技に感動

ドリップの職人技に感動

最初に家でコーヒーを飲み始めたころはもちろん、インスタントコーヒーだったね。北海道の寒いところで育ったので、あったかい牛乳にコーヒーと砂糖を入れて飲んだ。あれはあれでおいしかったな。 20代になって喫茶店のコーヒーに魅せられて、好きな店を探し歩くようになった。ただ、そのころはいれ方が大事。こだわっている喫茶店で見ていたのでカウンターが気になる。すごーく細く糸のように。あれを家でもやりたいのだけれど、ようするにお湯を入れるポットの口が細くないと、うまくいかない。それをやかんでやろうとしてこのへんがダボダボになっちゃう。うまくいかなくて印象悪くなった。でもやっぱり、ドリップの職人技に見てくれも含めて憧れがあったよね。そのうちに家にもドリップコーヒーが入ってきて使い始めた。レギュラーコーヒーっておいしいなと。最初はネルで、後片づけとかがたいへんだったけれど、紙が登場したときは画期的だと思ったね。

エスプレッソとの出会い

エスプレッソとの出会い

20年ほど前、初めてヴェネツィアに行ったときに飲んだエスプレッソの感動が忘れられない。立って飲む、カップが小さい、すごく濃いのに、何でこんなに香ばしい匂いがするのだろう…良い豆を選び、最高の状態で抽出して飲ましてくれるバリスタの仕事に感動した。 当時の日本にはエスプレッソが飲めるところがあまりなく、かといって家でいれるのはたいへん。結果ハレの日のものになっていた。その点、このマシンは豆と水をいれてボタンを押すだけ。自分でいれるテクニックの差がそのまま味に反映されるけど、高いレベルの味が毎回同じように飲めるのは幸せだね。

ユーラのデザインは画期的

ユーラのデザインは画期的

自分のスペースに置くのだから、デザインが良いか悪いかも大切。ENAはシンプルさがすばらしい。インテリアとか、自分がつくりたい空間を邪魔しない。部屋でもキッチンでも、主張せず、ちょっと控えめにしているところが逆に良い。まわりを活かす、画期的なデザインだと思う。しかも、このサイズのなかにグラインダーや加圧ポンプ、給水タンクなどがプロ仕様のスペックで収まっているのは驚異。スイスのプロダクトデザインを感じるね。

装丁家・グラフィックデザイナー坂川 栄治

1952年北海道生まれ。1987年坂川事務所設立。雑誌『SWITCH』のアートディレクターを創刊から4年間務める。1993年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。代表作に吉本ばなな『TUGUMI』(中央公論新社)、ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』(NHK出版)、かがくいひろし『だるまさんが』(ブロンズ新社)などのベストセラーがある。著書は『写真生活』(晶文社)、『遠別少年』(光文社文庫)、『「光の家具」照明』(TOTO出版)、『捨てられない手紙の書き方』(ビジネス社)、『本の顔』(芸術新聞社)、『フムフムさんとっておき!湯めぐりうまうま旅』(静山社)など。BSフジのテレビ番組『絶景温泉』に温泉案内人としてレギュラー出演中。

坂川 栄治